親のことが不安
離れて暮らす父が、最近物忘れがひどくなった。
施設の入所や自宅の売却を考えているが、どうしたらいい?
離れて暮らす父が、最近物忘れがひどくなった。
施設の入所や自宅の売却を考えているが、どうしたらいい?
父に会うたび、認知症が悪化しているような気がするんです。
ひとりで暮らしているので、徘徊とかはじめると本当に心配で。施設の入所を進めているんですが、父は頑なに今の家に住み続けたいって言うんです。家の売却も勝手にできないし。そこで成年後見制度をつかってなんとか施設で生活できるようにできないかと。どう思います?
鈴木さんがお父さんのこと心配する気持ち、よくわかります。成年後見制度の利用を検討されているのでしたら、まず、お父さんが認知症によってどのくらい判断能力が低下しているか、医師の診断書で確認する必要があります。
判断能力が低下していないと成年後見制度は利用できないと聞きました。その確認ですね?
そうですね。それと、判断能力の低下の程度によっては、本人が後見制度の利用を望んでなければ、成年後見制度を利用できない場合があります。
そうなんですか?
診断書は、精神科などで書いてもらうんですか?
いいえ、かかりつけのお医者さんで大丈夫です。
判断能力の低下の程度で、支援内容もかわってきます。最終的に裁判所が3つの類型に当てはめて支援内容を決めます。図にするとこうですね↓
なるほど。今はひとりでスーパーで買い物できるくらいなんで、おそらく保佐か補助。補助の場合は、父に後見の利用に納得してもらわないといいけない。ということですね?
そのとおり。
鈴木さん、まずは診断書と、お父さんにも事情を説明して、お互いの気持ちを理解し合っていくことが大切。ここをクリアにしてお話できればと思います。
ありがとうございます。
父とよく話し合ってみます。
お父さんとお話ができましたら、成年後見制度を前向きに検討いただけたらと思います。
より具体的な話をすすめる際は、鈴木さんの地域を担当する司法書士をご紹介いたしますので、ご連絡待ちしております。
鈴木さんはお父さんと今後のことについて話し合った後、リーガルサポートおおさかに連絡し、司法書士の紹介を依頼した。後日、手続を進めるにあたって地元の司法書士が自宅に訪問することになった。
はじめまして!
リーガルサポートから紹介を受けて担当させていただく司法書士です。
よろしくお願いいたします!
よろしくお願いいたします。
早速ですが、家庭裁判所に申し立てるのに、これから準備することってどれくらいありますか?
はい、ざっと下記のようになります↓
裁判所に提出する書類の作成は私が担当しますから安心してくださいね。
※上記■印の書類については、裁判所が定めた書式により作成します。なお、必要書類は裁判所によって異なる場合がありますので、事前に申立てをする裁判所にご確認ください。
はあ、みているだけで大変そうですね。
申立ては誰がやってもいいのですか?
申立人になれるのは、本人か四親等内の親族と法律で定められているんです。なので鈴木さんが申立てをすることになります。私は、申立書の作成や面談の同行など、手続をサポートします。あと、申立てには費用がかかり、おおよそこのくらいになります。
項 目 | 費 用 |
---|---|
収入印紙(※後見類型の場合) | 800円 |
収入印紙(※後見登記用) | 2,600円 |
郵便切手代(※大阪家庭裁判所本庁の場合) | 3,900円 |
戸籍、登記事項証明書等を取得する費用 | 約5,000円 |
診断書作成費用 | ※診断書の依頼先によります。 |
鑑定費用(※大阪家庭裁判所の場合) | 原則として5万〜10万円程度 |
鑑定費用は、裁判所によって鑑定が必要と判断された場合に発生します。申立ての約1割で鑑定が行われています。その他司法書士等に書類の作成を依頼する場合、報酬が発生しますが、事案によって報酬は異なりますので、詳しくは依頼先の司法書士にご確認下さい。
…わかりました。
それと、後見人を誰にするかなんですが、私がなろうと考えています。
後見人の業務って、日々家計簿をつけるような感覚でいいのでしょうか?
そうですね、年金の管理や生活費で支出したものなどをしっかりと明確にして、1年に一度裁判所に財産目録と報告書を提出します。人によっては、煩雑な業務で難しいと感じるかもしれません。また、不動産の売却や相続手続がある場合、そういったことも後見人の責任で行う必要がありますし、特に自宅を売却するとなれば、裁判所へ売却許可の申立ての手続もしないといけません。
う〜ん、報告書かあ。
専門家にお願いしようとも思ったんですが、月々3万前後かかると聞いたことがあるので。それに…。
それに?
失礼ですけども…。知人から専門職後見人が横領した話を聞いて、財産はやっぱり私の方で管理した方がいいかと…。
そうですか。そうおっしゃるのも無理ないですね。
あってはならない事件ですが、司法書士や弁護士も人間だから、そのようなことが起こり得ない仕組みを作ることが大切なんですね。
リーガルサポートおおさかでは、半年に1回、会員から業務報告の提出を求め、常に専門職後見人の指導・監督を行っています。家庭裁判所は年に1回、後見人の監督がありますが、それだけでは目が行き届かないところがないように、より細やかな監督を行っているのです。事件を未然に防ぐ為にも、きちんと監督し、場合によっては困難な業務をサポートする仕組みで、不正や不適切な業務を予防しています。私もリーガルサポートの会員として、成年後見制度を安心して利用いただけるようにしなければと、日々思っております。
ごめんなさい。親身にお話聞いてくださるのに。
…わかりました。後見業務はやっぱり不安なので、司法書士の方にお任せしようと思います。
候補者としてお願いしたいのですがよろしいでしょうか?
わかりました。
鈴木さんのお気持ち、尊重いたします。
それでは、申立ての書類を準備していきましょう。
はい、ありがとうございます!
鈴木さんと司法書士は後日、大阪家庭裁判所に向かい申立ての手続を終えた。
その後、家庭裁判所から郵便が届き、司法書士が後見人として選任された。鈴木さんと鈴木さんの父のご要望を汲み取り、鈴木さんの通いやすい老人ホームを契約することにした。自宅の売却、施設の契約、その他あらゆる手続を進めていった。当初、鈴木さんが願っていたお父さんが安心して生活できる暮らしが叶った。鈴木さんは、感謝の気持ちを伝えに後見人の司法書士事務所を訪問した。
その節は本当にお世話になりました。
おかげで今は肩のにが少し降りて、ホッとした気持ちです。
こちらこそ、私もホッとしました。鈴木さんと施設選びでいろいろありましたが最終的にお父さんが気に入ってくれて、本当に良かったです。
ありましたね〜笑、そうなんです。以前は大阪市内は空気が悪いだ何だ言ってったんですが、すんなりOKだなんて。父は司法書士さんのこと相当気に入ってるのでしょうね!
いえいえ、お父さん、初めてお会いした時からは考えられないほど穏やかになられたのでよかったです。
そうですか…。
後見人になっていただいて、本当に感謝しています。
とんでもないです。
後見業務はまだ始まったばかりです。これからお父さんが天国に旅立つまでご一緒させていただきますので。鈴木さん、これからもよろしくお願いしますね!
こちらこそ、よろしくお願いいたします!
今は一人で十分生活できているけど、
認知症になってしまった場合、
入院や施設の入所手続、費用の支払い等を
きちんとできるか、不安だ。
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成年後見制度とは、認知症や知的障がいのある方など、判断能力が不十分な方々を、法律面や生活面で支援する制度です。
後見人(本人に代わって財産管理や様々な手続きをする人)を選任することで、
介護・福祉サービスや施設との契約、銀行との取引、各種費用の支払い、年金の受給など、
暮らしに関わるさまざまな手続きをサポートできるようになります。
より詳しく知るには、こちらをご覧ください。